ゴールデンアイ 007
無名度
★★★
メリケン度
★★★★★★
いや〜映画って本当に素晴らしいですね度  ★★★★
それはとある夏の日だった。何気にTVを見ていると水野晴夫浜村淳が振動パックで震えている・・・それで私は脳味噌をやられてしまった。そして私は発売日にゲームショップに出向いていた。
今考えれば、どうしてあのCMで買おうと思ったのかわからない。一応、その後ゲーム誌で動向を調査した。しかし、ファミ通はPSのゲームばかりでゴールデンアイの記事など微塵も無い。レビューでも得点は30点を超えていたが文章は投げやり。仕方なく64専門紙を初めて手にする。
私は本来はMSXユーザーである。無論そんなハードなど今は存在しない。しかし、そんな私にとって心を痛めることが・・・それはPSで「メタルギア ソリッド」が発売されることである。メタルギアは本来、MSXで二本発売されたアクションゲームである。「スナッチャー」・「ポリスノーツ」で有名なコナミ小島秀夫の出世作でもある。その二本も当然プレイし(ポリスノーツのためにわざわざ9821まで買った)いつか「メタル ギア」の続編も出ないかと望んでいた私には、PS発売のニュースは嬉しくもあり、悲しくもあり・・・中古なと販売手法でSCEのやり方に納得できない私はPSを買わないことで抗議の意を現わしているからだ。

64専門誌で「ゴールデン アイ」の画面写真を見た時、私の脳裏によぎったのは「メタルギア」だった。ファミ通にはDOOMゲーと書いてあっても、破壊工作や書類奪還、人質救出などの任務を達成するのだから、本来は敵に見つからず進んでいくゲームであるはずで、彼らはゲームの意義を理解せずにただ突っ込んでいるだけなのだろうと感じた。
私は自分の勘を信じた。そしてそれは驚くべき結果をもたらした。
こんなにゲームが面白いと思ったのは久しぶりだった。アクションということを考えれば、RPGや恋愛ゲーしかやらないアニメオタクもどきにはその面白さはわからないかもしれない。しかし、自分の中にほんの少しでもゲーマー魂があると思うものなら必ずやるべきだ。それほど自信を持って薦められるゲームである。
ゲームシステムは前述したようにDOOMであると言える。要するに自分の視点からの3Dアクションである。そして敵の施設に忍び込み、見張りを一人ずつ倒しながら金庫から書類を奪い、人質を助け、敵の秘密兵器に爆弾を仕掛ける・・・ひとたび見つかればマシンガン片手に敵兵をなぎ倒す・・・そんなゲームである。

そしてこのゲームの素晴らしいことは、ひとつのシステムで様々なシチュエーションが楽しめると言うことだ。敵に見つからないように進んでいく、マシンガン片手に突っ込む。そのどちらで攻略することも可能で、そこに遊ぶ人独自のスタイルが出来ていく。面によっては全然違うゲームに感じることもある。6面のロケットサイロは時間制限の中敵を撃って進むオーソドックスなアクションタイプ7面の巡洋艦ではハイジャックされた船で人質を救出しつつテロリストを殲滅する緊張感あるステージ14面の軍用列車はタイムクライシス2をやっているかと思うような、見事な銃撃戦17面のポンプ施設は潜入感がもっとも強いステージで、最終18面はボスとの対決でテンポのよいアクションが面白い。これらが全て同じシステムの中で行われているのだ。最近は単純なシステムにミニゲームを詰め込んでさもゲーム性があるように見せかけたゲームが多いが(坂口、お前に言ってんだぞ)、単純と簡潔、複雑と難解は違うのだと言うことに気付いている製作者が果たしてどれだけいるのだろうか。それはユーザーも同じだ。わかりやすく言えばシンプルとイージー、コンプレックスとハードは別物なのだ。製作者は熟考もせずただ思い付きで複雑なシステムを入れ、それをイージーにすることで使わなくてもクリアできる、これはおまけだからしょうがないとユーザーも納得してしまう。LVが3とか4とかでクリアできるRPGはシステムが崩壊している証拠であって、本来そのようなゲームはあってしかるべきでないとどうして気付かないのか?
ゴールデン アイ」をやりながら、私はその思いをより一層強くした。

先日、黒沢明監督がなくなった。国際的に高い評価を受け、しかし日本では必ずしも評価されていたとはいえない。何故なら彼は必ずしも思うように映画を作れたとは言えなかったからだ。人気作・人気監督が出来れば意欲作など作らずに、ただ採算が合うように制作を行う・・・そして映画業界は枯渇した。今、ゲームがそうでないと必ずしも言えますか?
それを商業主義という言葉で片付けるのは浅はかである。何故なら欧米の方がよっぽど日本より商業主義なのだ。しかし、あちらには10年先を見据えた商業計画・・・つまり投資というものが出来る。しかし、日本は目先の利益があがればそれでいい。それは商業主義ではなく、ただ単にお金に卑しいだけなのだ。だから、例えばワールドカップのチケット問題も、儲かると目先で突っ走ってありもしないチケットを代理店は買い求め、そしてその実態も出発の直前まで明らかにされないわけである。そのような姿勢はゲーム業界にも変わりはない。

PSを持っているうちの弟は、友達を家に呼ぶ度に私から「ゴールデン アイ」を借りて対戦を楽しんでいる。今回は書かなかったが、対戦も一人用とは別物で非常に楽しめる。ぜひとも続編では、ステージの二人同時プレイ、対戦でのCPキャラ(一人でも対戦できるということ)を入れてほしい。

 
メーカー
任天堂
制作
Rare
機種
N64
ジャンル
3Dアクション
舞台設定
007
aA
スーパードンキーコング」で一躍頭角を現わした、イギリスのゲームメーカー、レア社の作品。人気映画「007」シリーズ から、銃撃戦の多い「ゴールデン アイ」をフューチャーして制作。見た目は「DOOM」タイプだが、ただ打ちまくって進むというタイプよりは敵に見つからないように、見張りを一人ずつ倒して任務(破壊工作や書類奪還、人質救出など)を達成するゲームである。
日本では水野晴夫浜村淳を起用したCMで10万本のセールスに終わったが、アメリカでは300万本を売り上げ、97年度ゲーム・オブ・ザ・イヤーでも「FFZ」・「パラッパ」を抑えてその座を射止める。
97年8月発売。定価は4980円。
N64にて「パーフェクト ダーク」が制作中。システムのみを継承した作品になる予定でアメリカでは既に話題騒然。但し、 日本では「ゴールデン アイ」が不調だったこともあり、発売は微妙。
98/09/09
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