ゼルダの伝説 時のオカリナ
a
最高傑作度
|
★★★★★★ |
ライトユーザー拒否度
|
★★★★★★ |
ストーリー度
|
★ |
a
ゼルダを私は4年待った。といっても過言ではない。しかし、よくよく考えれば、ゼルダは64本体発表時にその発売をコールされたものの、実質的に開発に入ったのは発売の2年前、更に画面が出てきたのは発売前年からである。マザー3も当初からのラインナップにあることを考えれば、そんなに大きな延期ではなかったように思えるのだが。
さて、4年待った甲斐があり、ゼルダは非常に素晴らしいゲームだった。はっきりいって、ここで私が敢えて語るようなことはする必要がないであろう。ここではゼルダに対する2つの疑問・・・「あんな難しいゲーム、ユーザーを馬鹿にしている!」と言う人と、「最後までプレイしたけど、どうも馴染めない」と言う人の声について考えてみたい。
「あんな難しいゲーム、ユーザーを馬鹿にしている!」と言う声
3Dスティックでどうも上手く歩けないらしい。十字キーも使えるようにしてもらいたいという声も多い。しかし、3Dスティックほど素晴らしいアナログ入力装置は他に無いのだ。プレステもドリキャもアナログキーの操作感覚はあまりにもひどすぎる。N64のアナログスティックほど使いやすくて丈夫なアナログ装置は存在しないのだ。アナログ入力は昔からゲーセンでは多い。最近ではバーチャロンがそうだ。私の友人であるちょーゲーセン野郎も「普通、アナログスティックはしばらくつかっていると癖がついて勝手に動いたりするんだけど、N64はまったくないし、それにこんな細い棒ですぐ折れると思ったけど全然壊れないね」と褒めていた。事実ファミコン・スーファミはまだ動くのにプレステはもうぶっ壊れているという家も多かろう。
これはやはり、そういう人たちには悪いけれど、「使い慣れていない」という言葉に集約されてしまうのだろうか。ちょっと建設的に話をするのなら、例えばまったく格ゲーをやったことが無い人がいきなり「バーチャファイター」をやれるだろうか? 無論、やれる人もいるだろうか、そこで「なんでガードがボタンなんだ!?」という人の反応が、今回の3Dスティックに対する拒否反応に近いものではないかと僕は思うのだ。「ゼルダ」は「スーパーマリオ64」をさらに突き詰めたシステムといえる。「マリオ64」も名作といわれたがゼルダと比べてしまうと相当見劣りする。しかしながら、やりやすさという点から見れば、「マリオ64」の方がずっとやりやすいと思う。「ゼルダ」でN64を初めた人は結構多い。そういった人たちはほとんど「マリオ64」をやっていないはずである。それは格ゲーに例えれば「スト2」など一切やらずに「バーチャ3」から始めるようなものだ。はっきりいって相当つらいと思う。僕もプレイしている時は操作は別としても謎解きなんかもかなり迷った。後ろで見ていた前述の友人は「俺はそんなに難しいとは思わないけど・・・やっぱ最近のゲームは簡単でユーザーのレベルが落ちてるのかなあ」と言っていた。僕も最近のヌルいゲームにすっかり染まっていたようだ。
「なんで十字キーじゃないんだ!」と言う人はN64はただ十字キーの代わりに3Dスティックをつけているだけだと思ってい人も多いのではないだろうか? それに関しては次の疑問の答えと重なるのでそらちで考えたい。
「最後までプレイしたけど、どうも馴染めない」
ストーリーが無くて駄目だという人は、それはもう嗜好の違いと言うしかないのではないだろうか。逆に僕はFFなんかはあんなゲーム性がないものはやっていて何の楽しみも感じられないのでやりません。でも、僕はFFの存在そのものは否定しようとは思わない。ああいうゲームがあって当然だし、もっと言えばFFとゼルダ、両方が楽しめるという人は僕からすればとても希有だ。
例えば映画。北野武は大きな評価を得ている。しかし、良い映画だからと全ての映画を好む人がそれを見るのだろうか。いや、暴力と言うものに対して嗜好が会わない人は見ないはずである。「寅さん」と北野映画、両方見るという人はかえって変だ。スマップと洋楽、両方とも聞くって人もいるだろうけど、そういう人は多趣味って言われるはずだ。普通は(変遷はあったとしても)1.2ジャンルの音楽を嗜好として持っているはずだ。
そう、ゲームにはそれが無いのだ。話題のゲームはすべてやる。嗜好が違うから、最初から楽しめる保証の方が少ないというのに、そして案の定つまらなければそこで「クソゲー」と言う。いいふらす。それが「ゲーム」というものが作ってきた文化なのである。
それって、やっぱりゲームを貶めていると僕は思うのです。無論、いろんなジャンルを楽しめるというのは素晴らしいことだと思います。でも、違うテリトリーに入る時は「自分の分野じゃない」ってことを心して、馴染めなかったら「趣味が違う」というふうに思うのが本当の文化に対する接し方ではないのでしょうか。少なくとも興味がそんなに無くて、でも話題だから買ってみてうまく出来ないから「クソゲーだ」というのは、先に書いた通りそれがゲームというものの創った文化だけれども、もうそういった事を言っている時代は終わったんじゃないのだろうか?
バイオ2・バラサイトイブ・武蔵伝・ビートマニア・ゼルダ・ピカチュウげんきでちゅう・遊戯王・ドラクエモンスター・サクラ大戦2。昨年話題になったタイトルである。50万いると言われるコアユーザーには全部買った人・1.2本しか漏れていないという人も多いのではないだろうか。僕はドラクエでさえ買っていません。モンスターを育てるというのはお腹いっぱいだからである。ソフトの方が大事、なんていわれても、結局コアユーザーという人たちはハード中心で、話題になったゲームはすべてやり、自分に合わなければクソゲーとけなす・・・そういう文化はもうやめませんか? というのが私からのメッセージである。あなた、何本ゲームを買って、何本クリアしましたか?
さて、ではゼルダとはどういう嗜好のゲームなのか。それが3Dスティックにも繋がっていきますのでそれについて考えたい。
「結局ゼルダの何が凄いのか?」
ゼルダが何故ここまで評価されるか・・・それは3Dゲームだからです。そういうと???という人も多いでしょう。しかし、残念ながら日本のゲームで3Dゲームと胸を張って言えるのは「マリオ64」と「ゼルダ」だけなのです。海外なら「トゥームレイダース」なんかありますし、日本でも3Dゲームがないことはないですが、全て不完全なのです。「マリオ64」になされた評価、それは「初めてゲームの世界で完全な箱庭空間(それはつまり3D空間)を作り上げた」という一言に集約されています。ゼルダはジャンルこそ違えど、それをさらに推し進めたものであるといえるわけです。つまり、いきなりゼルダから3Dゲームをやって、しかも上手に出来たという人は、それはそれである意味凄いことなのです。
そして、その2Dと完全な3Dの違いというものがよくわからない、それが充分伝わっていないのだと思います。
現在、次世代機と呼ばれていたハードで発売されている3Dゲームと言うのは、あくまでグラフィックの技巧だけで、キャラクターの移動と言うものは大昔の2Dのままである。例えば、FFのマップなどは見た目は3Dかもしれないが、プログラム的に見た移動軸は、それまでのドラクエとほぼ同じような感じです。つまり、ドラクエのマップはすべて方眼紙の様な桝目の中にオブジェクトとを置いて、通れる個所は黒く塗りつぶしたものだという風に解釈すると、今ある次世代機の3Dマップというものはすべてそのように作られている・・・ただオブジェクトたる建物や背景などが3Dで描かれているだけなだ。つまり、「空間」という意味から捉えればそこは3D空間ではなく、完全なる2D空間なのだ。
では、ゼルダは、マリオは? その二つはまさに移動そのものが3D、つまり本当の3D空間なのである。そして、そこにおいては、十字キーであっては上手に移動することができない。「行きたいところにいけない」のである。そのための3Dスティック、つまり「前進・後退・左右移動・回転」ができないと3D空間の移動はストレスが溜まってしょうがないのだ。ゼルダにおいては「Z注目」の採用により、非常にスムーズにその移動を行うことが出来る。いまだかつて3D空間においてあそこまでストレス無しに移動できるシステムはなかった。それがゼルダにおいて最も優れたことである。
その、ストレスがない3D空間移動というものが、「自由なゲーム」という表現で雑誌で表現されている。それはある意味では誤解を産んでいるとも言える。さらに言えばアナログスティックの操作にも慣れていない上、3D空間での移動の仕方というのも慣れていないのである。いきなりやった人間が上手く歩けなくても当然である。その最も足る理由が「距離感」である。敵に対してどのくらい近付いていいかわからないので、しょっちゅう体当たりをしては死んでしまう。そうしてストレスを溜め込んでやらなくなってしまう・・・それがゼルダに対する「難しさ」の評価であると思う。
誤解しないでもらいたいのは、2D空間のゲームが3Dゲームに劣っているといっているわけではないし、もっとストーリーを重視した、ドラスティックな物語を組んで欲しい、そうじゃないからつまらないという人の意見は尊重すべきだと私も思う。私がここでこのようなことを述べているのは、例えば任天堂にゼルダのアンケートはがきに、「続編は2Dだったら買う」などと書き送る人(実話である。宮本氏が雑誌のインタビューで言っていた)に対して、「自分は3Dは向かない」と思っている人は別として、「自由に移動できなくて、ユーザーをバカにしている!」という人に対して、少しその誤解を解いておく必要があるのではないかと思ってである。
現実問題として、今後のゲームというのは今までの2D中心のテキストゲームと、3D空間でのゲームというふうに枝別れしていくような気がするのだ。これまでのゲームは、細分化されているようで、実のところ同じ土俵の上であったように思う。このゼルダの登場による3D空間ゲームの系列は、それまでのゲームと比べた時、野球とサッカーほどの違い(同じスポーツとしての区分けはされるけれどもジャンルとしてはまったく別のもの)を持ったものなのではないだろうか。そういった意味ではエポックメイキングの作品として重要であるし、3D空間の完成度は現時点でまぎれもなく最高傑作であるし、ファミコン時代を彷彿させるゲーム作りは最新の技術とノスタルジーの融合という言葉以上の面白さを持っている。少しやってみたけれども、操作に慣れなくて詰まってしまったけれど、続けてみたいという気持ちのある人は、お金はかかるかもしれないけれど「マリオ64」・「ゴールデンアイ」・「バンジョーカズーイ」などの比較的シンプルな3Dゲームから馴らしていってみてはいかがだろうか?
メーカー
|
任天堂
|
機種
|
N64
|
ジャンル
|
3Dアドベンチャー
|
舞台設定
|
ハイリア王国
|
aA
マリオとドンキーの生みの親、宮本茂のもう1つの代表作、「ゼルダの伝説」。最初ファミコンディスクシステムで発売された時、初めて「アクションRPG」というジャンルを示したことで衝撃を与え、今でも名作の呼び声が高い。ディスクでもう1作、SFC・GBでも発売された。基本的に毎回同じ設定で作られている。
N64の発表時の開発タイトルとしてその名が挙がったが、その時点ではまったく開発しておらず、それが長い開発期間としてユーザーに延期感を与えた。ドラクエ・FF去った後の主戦力としてユーザーからの期待も大きく、また開発側も妥協せずに開発を進めたことでゲーム史上に残る傑作として発売される。
98年11月21日発売 定価5800円
新品でも3000円前後で購入可能。
64DDでの「裏ゼルダ」と、同じシステムでのROMを使った新作が検討されている。どちらかは場合によっては年内発売も。
99/6/14
<戻る>