ブレンパワード
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「富野じゃないガンダムは見たくない、ガンダムじゃない富野は見たい」
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WOWOWにて「ブレンパワード」が始まって三ヶ月程過ぎた。
「V」以来5年ぶりに富野監督の作品が見れると言うことで私は大いに期待していた。はっきり言ってG・W・Xのいわゆる「アフターガンダム」ははっきり言っていまいちである。それは「アフターガンダム」を認める、認めないの議論ではなく、やはり富野ガンダムに比べると格段に質が落ちると言うことだ。作った人たちには申し訳ないが、はっきり言って駄作だ。無論、あのような大きな作品の続編を作ると言うのは大変なことではあろうが、サンライズはこれからもガンダムを作っていくわけである。失礼な言い方をすれば富野監督が死んでもガンダムは作られるのである。しかし、現状を見ていると作らない方がいい。そんな結論に私は達してしまうわけである。
さて、話を元に戻すと、そういうわけで私は富野監督の作品に飢えていたわけだ。「ブレンパワード」の放送が決まった時にはそれこそ飛び上がるように喜んだ。他のファンにはガンダムじゃないと言って興味を示さない人もいるようだが、それは大きな間違いだと私は言いたい。まあ、メカ好きでガンダムがいいと言う人は仕方ないとしても、ストーリーでガンダムが好きだと言う人は絶対見るべきである。まだ完結していないので最終的な評価は下せないとしても、はっきり言って「ガンダム」という拘束にがんじがらめで富野監督の好きなシナリオに出来ない作品を見るより、富野監督独特のシナリオ運び、いわゆる「富野節」を楽しみたいと言う人には「ブレンパワード」はとても満足のいく仕上がりだと思う。ちなみに私の痺れた「ブレン」における富野節を以下に記す(うろ覚えなので正確な言い回しは違うであろう事をお詫びする)。
「お前も光って奴を見てみたいだろう?」
「お前のブレンパワードの扱い方・・・イエスだね!」
「・・・俺たち、何やっているんだろうな」
「いろんな女の人と知り合いなのね?」「他人の事なんて何もわからないよ」「そうなの?・・・そうなんだ・・・」
「私はこんな下等な雄しかいない地球がほとほと嫌なのよ」
「女が母親になるのをやめ、男がそれを許した時、地球はおかしくなったのよ」
「・・・私、あの人と愛しあってもいいのかしら?」
第十六話までですがこんなところです。やはり富野作品はいいなあとしみじみと感じています。やはり、富野監督はセンスが違いますね。センスがある作品は庵野のエヴァや幾原のウテナとかもありますが、今のよくできたアニメというのはテクニックにセンスがある事で、シナリオにセンスがある作品はほとんどないと思います。富野監督を除いて。上にあるような台詞回しのセンス、それに酔いしれるだけでも見る価値のある作品だと思います。
そして思ったのが、「ガンダムじゃない富野が見たい!」と言うことです。冒頭に書いたようにガンダムの呪縛のない、生き生きとした物語を富野監督にはこれからも作ってもらいたいのです。富野監督のシナリオを楽しむという観点から言えば新作がガンダムである必要性はないのではないでしょうか?。その中でも私の希望はロボットじゃない富野作品です。
富野節の炸裂する恋愛もの、コメディ、ファンタジー・・・皆さんは見てみたいと思いませんか?。そんなの出たら、僕は手を叩いて喜んじゃいますけど・・・。
98/08/20
中村嵐
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