「カッコいいってのは、こういうことさ」
byポルコ・ロッソ
いきなりの標語ですが、私的に「カッコいい」と言った場合はこういう
カッコよさ、つまり、「客観的に冷静に見ると格好悪いんだけど、その場の ノリや勢いで何故か格好よく見える」というものを指します。まぁ、そう
いったものが好きなだけ、と言われればそれまでなんですが。
で、こういった基準で見ると一番「カッコいい」ガンダムというのは Gガンダムなんですね。確かにあの作品、『ガンダム』である必要性は
どこにもありません。それどころか、『ロボットもの』である必然性すら、 あまりない作品です。だから、『あんなのガンダムじゃない』という人が
いるのも分りますし、ある意味でそれは正しいんじゃないかとも思います。
これは作中の台詞ではないので、ここで引くのが正しいかどうかは分りませんが、
あるゲームの中でこんな会話がありました。
「ガンダムでやるからガンダムファイトなのか?」
「いや、ガンダムファイトをするからガンダムだ」
・・・深いですね。実際、この台詞が何故この作品がガンダムでなければ
ならないかの理由の大部分を語っているような気がします。『ガンダム ファイト』『ガンダム・オブ・ザ・ガンダム』といったキーワードが先に
あって、ガンダムという作品世界の一部になる(まぁ、Gは外伝的で本流から
は外れているとする人が多いようではありますが)のはいわば後から付いて きたオマケに過ぎない、というような。
もちろん、因果律としてはこれは逆で、Vの次の作品、ということで企画が
始まったのは間違いないのですが。それでも、作品的には既存の(あえていうなら
後続のとも)ガンダムとは殆ど関係のない作品であることも間違いないでしょう。
実際問題、Gには哲学的な思想は殆ど出てきません。あるのは熱い漢と漢との
闘いです。
例えばマスター・アジア、例えばシュバルツ。他の作品に出てくれば、まず
間違いなく怪しいバカ扱いしかされないであろう人間が、格好よく見えてしまう。
それがGガンダムという作品の最大の特徴なんだと思います。
このGの思想(というほど大袈裟なものでもないですが)は形を変えてWへと
受け継がれています。Wの登場人物の殆どは「変」な人です。その中でも特に
「変な」人であるトレーズ閣下が格好よく見えてしまう、そんな世界を構成する
ことに成功しているのですから。
「変」というのは、言い方を変えれば個性的だということです。他とは全く
違う感性や思想を持つから「変」に見えるわけです。そういったキャラクター
が何の異和感もなく世界に溶け込むためには、非現実の空間を用意してやらねば
なりません。そして、本来、娯楽のためのものであるアニメは、非現実の 空間を描くもののハズなのです。
その時、本物っぽい嘘をつくか、あるいは嘘にしか見えない嘘をつくか、
いわゆる「普通の」ガンダムと「Gガンダム」の違いはそれだけの違いで しかないのではないでしょうか。ガンダムという作品自体、無数の嘘によって
成り立っている作品です。ただその嘘が、今は無理でも将来有りえそうな嘘で
あるというだけで。
富野監督は、今までのガンダムを全肯定する作品を作る前段階としてブレンを
作ったそうです。そう言う意味ではブレンは今までのガンダムの集大成である
と言えるかもしれません。
ただ、個人的にはブレンは決っして「カッコいい」作品ではないと思います。
シナリオ的にも、機体的にも(機体に関しては、そもそも永井護のメカをアニメで
動かす方が無理な話なので、言うまでもないっていう気もしますが)。
それが何故かな、と考えてみた時、ブレンは「普通の人」しか出てこない
作品だっていうことに気付きました。ある意味で先を読み易い作品だったのでは
ないでしょうか。ケレン味が強いことが即いいことだとは思いませんが、 強烈な個性がない作品は魅力に欠けるのもまた事実です。
万人受けする作品。ある意味では理想なのかもしれませんが、個人的には
そういう作品はつまらなく思えます。賛否両論の作品の方がより楽しめる、 そんな気がします。無難に作ったそこそこ面白い作品より、人によって好き
嫌いは激しいけれどハマるととてつもなく面白い作品の方が優れていると、 少なくとも私は信じています。
話をGガンダムに戻しましょう。
この作品に出てくる人は、皆、個性が強いです。アクが強いと言ってもいい
かもしれません。しかしそれがぶつかりあうことなく調和する、そんな世界を
作ることに成功しています。
その世界やそこに住む人達の思考法が今までにあったガンダムとは違うという
ことで「正統派」ガンダムファンからは嫌われていますが、そういった前提 なしに、単なるロボットものとして見れば相当に面白い作品であると思います。
もちろん、万人受けのする作品ではないので、嫌いな人はとことん嫌い、と
なる可能性はあります。しかしそれでも食わず嫌いをしていた人の中に「あ、
面白いや」と思う人がいないとも限りません。
最近では少なくなった、カッコいい作品なので、再評価して欲しい作品だと
思います。
文章:夢☆幻
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