コウ・ウラキ考

0.はじめに〜〜コウ・ウラキは本当に弱いのか?
 コウ・ウラキに対する世間一般の評価は何故か非常に低いようです。いわく、『機体の性能だけで勝った男』、と。
 しかしこの評価は果たして正しいのでしょうか? それを少し検証していきたいと思います。

1.機体の性能で勝つ
 さて、いかにも卑怯なことのように言われるこの言葉。しかし実際には『ガンダム』における主人公は多かれ少なかれ機体の性能差に助けられています。
 例えば、初代ガンダムこと(*1)RX−78ガンダム。当時最強を誇っていたジオンのMS(*2)ザクのメインウェポンであるマシンガンの直撃を受けてもかすり傷にしかならない装甲と相手の5倍以上のパワーを持ち、戦艦並みの威力を持つ(つまりは、一撃でザクを倒せる)ビームライフルとそれを剣の形に収束させたビームサーベルを武器とし、戦艦でなければ不可能とされていた大気圏への突入すら可能とする超高性能マシン。初めて乗ったアムロがザクを倒せたのはアムロの腕はもちろん、この圧倒的なまでのスペックの差があってこそです。
 ここまで極端ではないにしろ、『ガンダム』の世界において、主人公機を圧倒的に上回るだけの性能を持った敵MSが現れたのは数えるほどしかありません。しかもそういうMSが現れた場合、誰か他のキャラクターによる干渉があったり、あるいは敵パイロット自身が勝ちを放棄したりといった純粋な意味での対決ではない形で勝負がつくことがほとんどです。
 つまり、本来機体の性能差で勝つと言うのはあたりまえ、よくあることだったのです。では、何故コウの場合に限ってことさらに卑怯なことのように言われるのでしょうか?

2−1.GP−03は本当に強いのか?
 これは、彼の乗機であったGP−03デンドロビウムが極端な高性能機であると思われているせいだと考えられます。しかし、それは本当なのでしょうか。
 そもそも、GP−03デンドロビウムという機体は強襲型に分類される機体です。強襲型というのは聞きなれない言葉かもしれませんが、本隊に先だって敵編隊の中に突入、相手の隊列を乱して突破口を作ることも目的とした機体を指します。
 その性格上、高い防御力と火力を持ちますが、長時間の戦闘や一対一での個別戦闘を行うことは考えられておらず、機動性、持久性に欠けると言う弱点も持っています。また、火力自体は高いものの、あくまでも敵編隊に攻撃することを目的としているため、精密性は低くなっています。
 例えば、コウの射撃が下手な理由としてよくGP−03の主武器の一つであるメガビームキャノンをコウが連射しているにも関わらず外れてばかりいる、というものが上げられますが、射撃が当たらない、故にコウは射撃が下手である、という図式はこの場合成り立ちません。そもそもあれは、敵が隊列を組んでいるところに撃ち込み、回避行動を取らせるのが目的の武器です。その時誰かに当たればラッキーと言った程度の精密度しか有していないのですから、むしろ直撃を受けたシーマが運が悪かったと言うべきでしょう。
 その他の武器にしても同様で、一体のMSを狙うようには設計されていません。接近戦用の武器というイメージが強いビームサーベルですら、GP−03の場合は振りまわすのではなく、横に張り出すように構えたまま移動することで近寄ってきた敵を切るといった使い方をするのですから。
 また、GP−03という機体は操縦系統もかなり特殊になっています。この機体はMSでもMAでもなく、MSユニットであるGP−03Sステイメンとそのサポートシステム、アームドベース『オーキス』のふたつが合体することで形成されるのですが、実は操縦系統自体はステイメンのものしか存在しません。デンドロビウムとしての攻撃を行う際に使用されるのは基本的に全てオーキスの武装なのですが、それらの武装はコクピットのコウからは直接制御できないのです。
 まずステイメンを動かし、その後で『ステイメン』がオーキスを操作、武器を使用するという二人羽織のような特殊な操縦システムが採用されています。この為、コウが敵を正確に照準に捉え、引き金を引いたとしても、実際に攻撃が行われるまでにある程度のタイムラグが存在することになるわけですから、武器の命中確率は更に下がることになります。某ゲームでよくアムロをデンドロビウムに乗せていたものですが、実際に彼をこの機体に乗せたとしたら、あまりの操縦性の悪さにさっさとオーキスを切り離してしまうんじゃないでしょうか(笑)。
 これは、パイロットの生存性を高めるための措置だと思われます。オーキスの部分が致命的なダメージを受けたとしても切りはなし、ステイメンのみでの戦闘行動を取れるのはもちろん、ステイメン自体もコア・ブロックシステムを採用してとことんまでパイロットの安全性を追求しているわけですから。もしもオーキスを直接制御できる設計にした場合、操縦系に(ステイメンとデンドロビウムの)二つが混在することになる上にオーキスとの分離が瞬時に行えなくなる可能性が高く、武器発射の際のタイムラグはなくなるもののパイロットの生存性は下がることになります。強襲型という設計である以上武器の命中精度はそれほど問題ではなく、むしろ撃墜される可能性を少しでも下げることが重要になってくるのですから、これはむしろ当然の処置といえそうです。
 ここまで見てきたように、デンドロビウムは確かに高い耐久力と火力を誇っています。しかし、少なくとも相手のMSと一騎打ちをするような設計にはなっていません。これがライバル機とされるノイエ・ジールとの最大の違いです。

2−2.ノイエ・ジールという機体
 アナベル・ガトー専用機として設計されたこのMAは、一見強襲型のように見えますが実際は直掩機として設計されています。直掩機というのも聞きなれない言葉かもしれませんが、これは強襲型とは対照的に戦艦などの重要なものを守ることを第一目的とした機体のことです。遠距離段階で迎撃するための高火力と、接近された場合のための接近戦能力を兼ね備えている反面やや防御力が低いのが特徴です。
 ノイエ・ジールは遠距離攻撃としてメガビーム砲を、中距離用として拡散ビーム砲と有線クローアームを、接近戦用として複数のビームサーベルを装備しています。大量のミサイル兵器を積み込むだけの余裕はないためにビームが主体で、そのためIフィールドを装備したデンドロビウムには苦戦させられたわけですが、機体性能としては決して劣るものではありません。
 設計としては、ビグザムとジオングの後継機としての位置付けに有るようです。ジオンの正統な後継者を自任するデラーズ・フリートらしい選択でしょう。防御力が低いといってもあくまでも同格の相手と比較すれば、ということであり、巨大MAであることを考えると非常に強力な機体といえそうです。この機体も評価が低めですが、最終的には連邦の(*3)ジム系MSによって撃墜されているせいかもしれません。その際に十機以上を道連れにしている上、そもそも味方の脱出口を作るために自ら敵が密集している地点に突入、おとりになったせいなのですが。

2−3.本当のコウの愛機は?
 さて、ここまで見てきたようにデンドロビウムは強力ではあってもノイエ・ジールと比較して圧倒的に強い機体というわけではありません。むしろ、一対一で戦うと互角かやや不利といった感じです。
 それ以前に、コウがデンドロビウムに乗ったのは最後の戦闘の時だけです。作中で実際に長期間に渡って乗っていたのはGP−01(fb)ゼフィランサスの方です。ではこの機体はどの程度強い機体なのでしょうか。
 この機体は『GP計画』によって建造された機体の一つで、本来は地上戦専用機です。系統としては一年戦争時の(*4)RX−79ガンダム(量産型陸戦用ガンダム)の高機動発展型と言えるでしょう。確かにそれなりに高性能な機体です。しかし、機動性を高めるためには装甲を軽量化しなければならず、この時点では軽量高弾性の(*5)ガンダリウム・ガンマどころかベータも実用化されておらず、結果として装甲は薄くなってしまっています。また、機動力にエネルギーを食われるために武器の出力もそれほど高い部類ではありません。その高機動性を生かして相手の攻撃を避け、背面などに回り込んでの攻撃を行うというのが基本戦術となります。
 格闘戦用というコンセプト自体にやや問題がある(*6)ガンダム・ピクシーや技術的に時期尚早だった初の可変型MS、(*7)GT−FOURなどと比べれば随分ましですが、ガンダムと呼ばれる機体の中では少し設計バランスが劣っている機体といえるでしょう。
 それでも、地上戦を行っているうちはまだよかったのです。しかし、GP−02サイサリスがガトーによって奪われ、宇宙へと持ち去られた時にこの機体とコウの悲劇は始まります。本来、GP計画においては地上用高機動型MSとしてGP−01ゼフィランサスが、宇宙用高機動型MSとしてGP−04ガーベラが、それぞれ設計されていました。しかしこの時点でガーベラはまだロールアウトしておらず、応急処置としてブースターユニットをゼフィランサスに増設、宇宙用に改造したのです。この辺りの場当たり的な処置が、(*8)この時期の連邦がいかに危機管理能力に欠けていたかを示しているのではないでしょうか。

2−4.運用思想の違う兵器
 さて、GP計画と一括りに言われますが、実際にはこの計画は大きく二つに分かれています。戦闘レベルで優秀な兵器を作ることを目的とした部分と、戦略レベルの兵器を作ることを目的とした部分です。前者の目的では高機動力を持つ局地戦用MSとして01ゼフィランサス、04ガーベラが設計されました。また、後者の目的では戦術核(実際には、戦略核級の威力があった)を搭載した02サイサリス、そして多数のMAP兵器を搭載したアームドベース『オーキス』と連係する03ステイメンが設計されています。このうち、ガーベラは結局ゼフィランサスが宇宙用に改装されたために破棄され、最終的にはシーマの手に渡ってガーベラ・テトラと呼ばれるMSになりました。
 問題になるのは、01ゼフィランサスと03ステイメン(デンドロビウム)の両方にコウが乗っているということです。高機動力を生かして相手を撹乱、一対一の戦闘で優位に立つことを目的として設計されたゼフィランサスと高い耐久力を生かして敵の密集している地点に突入、広範囲に攻撃できる武器を乱射して敵の隊列を乱すことを目的としたデンドロビウムでは運用方法がまったく異なります。特にデンドロビウムはMSというよりはむしろ艦艇に近い運用思想を持つのですが、一パイロットとして訓練を受けてきたコウにいきなり戦闘に対する思考方を切り替えろといっても無理というものです。
 また、思考方がまったく異なるとまではいかないまでも、地上での戦いを基本として訓練を受けていたコウをいきなり宇宙に送るのも無茶があります。極端な話をすれば、平面上での戦闘しか知らない人間を立体の戦闘に送り込むようなものなのですから。ジオンとは異なり、連邦のMSは基本的に操縦系統が統一されていましたが、それでも細かな違いは当然有りますし、何よりも有重力空間での戦闘に熟達した人間を無重力空間での戦闘に送り込むこと自体間違っています。まぁ、彼に限らず、ガンダムの主人公たちは『何故か』その両方で活躍してみせるのですが、本来は宇宙と地上ではパイロットは交代するべき所です。

3.コウというパイロット
 さて、少し視点を変えて、この辺りでコウ・ウラキというのがどんなパイロットだったのかを見てみましょう。
 まず彼は、ガンダムの主人公としては(*9)珍しい地球人です。ついでに、NTではなく、連邦軍の正規の士官でも有ります。士官、といっても、士官学校を出たばかりなのですが。
 ここで問題なのは、彼が純粋に地球生まれの地球育ち、更にいえば一年戦争終結後の地球配備だったことです。訓練過程でいくらかのシュミレーター戦闘は行っているでしょうが、肝心の無重力、低重力での感覚というものを備えてはいないのです。つまり、少なくとも宇宙での実戦にいきなり投入できるパイロットではありません。にもかかわらず、ほんの僅かの訓練を(しかも、機種転換訓練と並行して)受けただけで実戦に出てなおかつ生還、戦績を上げているというのは大変なことです。
 しかも、(*10)アムロやジュドーは明らかに格下の相手を、カミーユでも(*11)同格の相手を初戦からしばらくの間の敵としていますが、さんざん機体の性能差うんぬんといわれるコウが宇宙に出て相手にしたのは格上のMA(*12)ヴァル・ヴァロです。更に相手パイロットがジオンの元エース、ケリィ・レズナーだったことを考えると、本当によく勝てたもんだと感心させられます。
 コウが弱いといわれるのは、つまりはライバルのガトーと比較してしまうからです。しかし、ガトーは『ソロモンの悪夢』の異名を取り、(*13)ジオン3大エースとまで呼ばれた超一流のパイロットです。撃墜数の上ではかのシャア・アズナブルをも上回っているのですから、正直いって士官学校でたてのひよっこが相手に出来るようなレベルの相手ではありません。しかも、作品全体を通してガトーはコウと同等かそれ以上の機体に乗っているのです。これでは勝てないのもあたりまえの話です。
 コウが不幸なのは、泥縄的対応をする上層部によってそもそも運用思想がまったく異なる機体への乗り替えを余儀なくさせられ、更に明らかに格上のガトーをライバルとしてしまったところにあります。むしろこれだけ劣悪な環境下で生き残り、それなりの戦績を上げているというだけでも彼の優秀さを示しているといえるのですが。
 更に言ってしまえば、彼が主人公として描かれたのが最大の悲劇です。自分よりも格上の相手と何度も戦い、撃墜されることなく生き残る。これは『ライバル』に求められるべき役です。代表選手でいえば、シャアがまったく同じ状況にいます。勝ち星を上げられなかったがゆえにジオン国内では評判の悪いシャアですが、ほとんどのパイロットはアムロを相手にした時一度目の戦闘で撃破されていることを考えれば、とにもかくにも生き残ったというだけでシャアの優秀さは明らかと言えるでしょう。実際、シャアのことを弱いという人はまずいません。純粋に記録だけを見ればガルマを見殺しにして自分だけ生き残り、その後も連戦連敗なのですが。
 また、0083世界における主人公グループ、アルビオン隊は実は歴史全体の流れから見ると敵役に当たります。コウとキースは退役しているものの、それ以外のメンバーは4年後のZの時代にはティターンズに所属、スペースノイドの迫害に活躍しているのですから。ティターンズかエゥーゴかという選択で迷うことなくティターンズを選んだ彼らは、この作品の中でもしっかりとそういう差別思想、選民思想をもって行動しています。全体を貫く思想の底には戦争に奇麗ごとは通じないというものが流れているように感じられる作品であり、他の作品と違って主人公=ヒーローという視点には立っていません。そのせいもあってか、主人公を本来以上に強く見せる演出があまりされておらず、コウは弱いというイメージが定着してしまったのではないでしょうか。

4.まとめ
 現実問題として、『人間として見た』コウは魅力的な主人公とは言えないでしょう。しかし、それはZのカミーユも似たようなものです。ただ、どちらかというと正義の側に立っていた(ような)演出をされるエゥーゴと、アウトロー風の演出をされるアルビオン隊の違い、更には本人なりの『大義』に基づいて行動していたガトーに対して明確な自分のスタンスを見せられず、ただ感情のままに戦いを挑んだ観がある最後の戦闘など、イメージアップにつながる要素があまりにもコウには少ないように思います。
 公平に見た場合、コウがアムロやシャア以上の腕を持っているとは思いません。実際に戦闘をかわしてない以上、カミーユやジュドーと比べてどうという比較もしにくいでしょう。正直な話、カミーユはまだしもジュドーよりは強いと思うのですが。ジュドーは逆に、作品中に特に強いライバルがいなかったためか本来以上に強く見られている感じがします。よくライバル扱いされるハマーン様とは実はほとんど交戦しておらず、最後の戦闘でも(*14)手加減されたみたいなんですけれど。
 制作者サイドでも好感度のもてる主人公としては設定していないようですし、私自身、好きな順番でいえばそれほど高い部類ではありません。ただ、不当に低く評価されているようなイメージがあるのが少し気になりました。主人公としての魅力とパイロットとしての技量の間には何の関係もないのに、ただ魅力に乏しい主人公だというだけで技量が低く見られるのは可哀想だと思うので。 



脚注:
(*1)RX−78ガンダム:正式にはRX−78−2ガンダム。いわゆる「ファーストガンダム」の主人公機であり、リアルロボットの代表選手のように言われることが多いが、本文中に書いたように圧倒的なスペックを持ち、多数の敵を単独で撃破していくという演出はむしろスーパーロボットに近い。また、この作品自体にもガンダムが鎖つきの鉄球を振り回してみたり「MSの格闘って奴を見せてやる!」と叫んでザクに飛び蹴りをさせる奴もいたりと、実はGに通じる演出もあった(?) アニメでは後にアムロの能力についていけなくなり引退、マグネットコーティングをほどこされたRX−78−3に道を譲る。小説版ではマグネットコーティングと宇宙空間での視認性を下げるために黒の塗装がほどこされG−3という機体が登場しているのだが、設定上はこのG−3がその後のガンダム系MSの基礎になるらしい。ちなみに、RX−78−1は組み立ての最中にジオンの攻撃をうけて大破、友軍の手によって焼却処分にされたために実戦には出ていない。 
(*2)ザク:正式にはザクIIF型と呼ぶのが正しいのだが、一般にはこちらを単純にザクと呼び、初代のザクIは旧ザクと呼ぶことが多い。この当時としては最強の兵器であり、あらゆるMSの基礎になった機体である。本来は汎用型の機体であり、バリエーションもそれなりに多い。もっとも、そのバリエーションの一つで代表格でもある地上戦用のJ型が外見的には変化していないためにあまり知られていない。 
(*3)ジム系:RX−78の簡易量産タイプ。頭部のマルチカメラ(目のようにカメラ・アイが複数に分かれており、距離を精密に測れる。ただし、部品の精度によってはかえって解像度が落ちる場合もあるらしい)やコアブロックシステムなどの機構は廃止されている。初期生産型のRGM−78ジムは性能が低かったが、ザニーを経て戦争末期にはジム・コマンドにまで発展、ザクを上回る性能を見せた。実質的に連邦を勝利へと導いたMSなのだが、妙に世間の評価は低いようである。ちなみに本文で言っているのはコマンドを更に改良したジム・カスタムのこと。 
(*4)RX−79ガンダム:本来RX−78というのは量産を前提にした試作機なので、実際に量産されたからといって驚くには値しない。この機体は陸戦用に調整されたもので24機が生産、コジマ大隊に配備された。もっとも、一年戦争の終盤では戦場はもっぱら宇宙であったためにあまり活躍したという印象はない。慢性的な部品不足のために破損した頭部をジムのものと交換したジムヘッドや予備パーツを組み合せて全面改修したEz−8などのバリエーションがある。 
(*5)ガンダリウム:正式名称はルナチタニウムなのだが、関係者もガンダリウムと呼ぶことが多い。アルファはRXシリーズなどに使われたものであり、ガンマはアクシズが開発、シャアが持ち帰ってリック・ディアスやZなどの装甲に利用した。そのため、実はベータ製のMkIIよりもリック・ディアスの方が耐久値は上だったりもするのだが、あまり知られていない。 
(*6)ガンダム・ピクシー:G−3を元に陸軍が開発した格闘戦用MS。ただし、宇宙軍がMS関係の資料の閲覧を拒否したため、G−3の情報を使用できずに苦労の末独自開発したというのが現実である。せっかくつちかったノウハウが活用できなかったせいかガンダムの呼ばれる機体の中では最弱の部類にはいる。 
(*7)GT−FOUR:G−3を元にして空軍が開発した可変MS。ピクシーと同様、宇宙軍の部外秘主義のせいで一から組んだ機体であり、性能的には見るべきところはない。ただ、飛行形態とMS形態の中間形態(ガウォーク?)を持つ珍しいMSではある。この機体のデータは後にアッシマーの開発に活用された。 
(*8)この時期の:実際には常に連邦政府は腐ってます(笑)。むしろ、人口対策になるからとアクシズのコロニー落しを止めないどころか避難勧告すら出さなかったZZ時代に比べればまだましかも知れません。とはいえ、悠長に艦謁式をやっていてサイサリスのアトミックバズーカで致命的ともいえるダメージを受けたのは流石に愚かとしかいいようがないでしょう。 
(*9)珍しい地球人:二十人を越えるガンダム主人公のうち、地球育ちなのはコウの他にはガロードとウッソがいるだけのはずです。最初の戦場が宇宙になることが多いだけに、これは仕方のないことでしょう。 
(*10)格下の相手:アムロに関しては本文でも触れた通りでMSの性能差に圧倒的な開きがありますし、ジュドーに至っては旧ジオンの(しかも満足に整備もされていない)MSをZZやらZやらで蹴散らしているわけで・・・ねぇ。 
(*11)同格の相手:実は最強パイロットはカミーユかも知れません。事前の訓練の少なさ、機体の性能差のなさ(どころか、実はZって敵の方が強いことってよくあったりしますし)と文句のつけようがありません。周囲にアムロだクワトロだハマーン様だとキラ星のごとく輝く人ばかり集まったのが彼の不幸なのかも。あとはバンダイとシロッコのせいで作品そのものが失速したこととか。 
(*12)ヴァル・ヴァロ:ジオンの傑作MAビグロの後継機。MSと互角以上の機動性と戦艦並の火力を持つ化け物のような機体である。ちなみに、この機体の修理をコウが手伝い、みごとに復活させたのは有名なエピソード。メカニックとしても優秀というのは、主人公の条件でもあるようだ(ま、中には当然全然駄目な人もいるが)。 
(*13)ジオン三大エース:『赤い稲妻』ジョニー・ライデン、『ソロモンの白狼』シン・マツナガ、そして『ソロモンの悪夢』アナベル・ガトーの三人を指す。撃墜数、人気ともに群を抜いた超エースパイロットであり、彼らの前ではかのシャア・アズナブルすらただのエースパイロットになってしまうというとんでもないパイロットなのだが、アニメには登場していないために知名度は低い。ただ、シャアの場合、政治的要素(ガルマの死によるザビ家との確執)だとか後半はずっとホワイトベースに関係してて撃墜数を伸ばせなかっただとか、いろんな要因があるので単純な比較は無意味ともいえるのだが。 
(*14)手加減された:本来遠距離戦を得意とするキュベレイで接近戦タイプのZZにわざわざ一騎打ちを挑み、更にはファンネルを使わずにビームサーベルのみで戦ったことを指す。ジュドー自身も言っているように、ファンネルをもっと使って勝ち狙いにいっていれば充分勝てた勝負なのだが、ハマーン様にしてみれば、もう疲れたという気分になっていたものと推測される。 
 99/8/3
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