春 晴れて 待ち人は来ず・・・
生暖かい風が 空に溜まり 工事現場の壁に
僕はよりかかる
朝食代わりのチョコを片手に 電光掲示板が書き換えられる
恋人を待たせ 友人を待つ・・・
君はいつも 先に来ていて 不安げな顔であたりを見回して
僕を確認すると 一度視線を落として近寄ってくる
それでも僕は 約束より早い
君はいつからそこにいたのか それはもうわからない
恋人たちが去っていき 僕は一人 駅の前・・・
街に買い物 一人の寂しさを感じる いつも連れ添っていた
良いものを見つけても 告げる人がいない
小銭が足りなくても 借りる人がいない
寄り道の必要もなくて ただ家に帰る
東の太陽 雨の思い出 哀れみの風
そばにいる人が 僕には必要だった
そして君に出会った 君はいてくれた
でも 必ずしも君じゃなければいけないわけじゃなかった
きっと君は それに気付いて 逃げ出してしまった
僕はまた 一人で歩いている
十分早く来て 三十分待つ
笑顔を迎えて 少し安らいで
桜色の風が 足を運ぶ だけどひとつ忘れ物
僕の待ち人は もう、来ない