擦れ違い

なんてついてない日だ  店先を蹴っ飛ばしたくなる
そうつぶやきながら自転車に鍵を入れる
どうやら僕は  不幸がまとめて来る体質のようだ
だからといって幸せが  まとめて来てくれるとは限らないけど
顔を上げたら  君を見掛けた

僕は彼女を知らない
名前も知らない  声も知らない
ただ  少し前まで  同じ制服を着ていた

彼女も恐らく  僕を知らない
名前も知らない  声も知らない
高三の一年間  毎日廊下で擦れ違っただけ

制服を見慣れた僕には黒いスーツが  失礼だけど奇妙に見えた
彼女の視線もこちらを向いて  学校でそうした様に
少し睨むような視線で  僕を見た

そうか・・・  そこの大学に通っているのか
ふーん・・・ その本屋に買いに来るんだ

知らない人生  別々の道
僕は僕なりの  彼女には彼女の
そんな世界を垣間見て  僕は裏地に  彼女は駅に

もう会わないか  また見るか  それとも話す日が来るのか・・・
気まぐれ未来はわからないけど  取り敢えず次の時
彼女に恥ずかしくないように  負けないように
僕もしっかり歩かなきゃ
 
 
 

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