2000年メジャーリーグ分析
メジャーリーグは激しく選手が入れ替わりますが、これは取り敢えず3/10に作成しました。
アメリカン・リーグ 東地区
2年連続ワールドチャンピオンのヤンキースだが、クレメンス・コーン・マルチネス・オニール・ノブロックなどベテラン選手の衰えからかシーズン114勝は98勝に減った。ジラルディ、チリ・デービス、ストロベリーの抜けた今季はさらに勝ち星を減らしそう。特にDHは控え捕手のレイリッツが兼任する見込みでかなり弱くなった。レフトもカーティスを放出したため、レディ・スペンサーの併用となり、DHに回す余裕がない。高齢化が進む先発陣を若返らせるため、伊良部を放出して先発枠を一つ空けた。ここを若手を争わせる方針で、つまりDHをつれてこようにもトレード要員がいないのである。先発に関してはクレメンス・コーンは衰えたがヘルナンデス・ペティットと左右の新エースが現れ、若手でNo.1の左腕ヤーナルも評判がいい。抑えのリベラもしっかりしているので投手は問題ないだろう。DHの人不足が解消せず、そして伸び悩む捕手のポサダが攻守ともに活躍しなければ苦戦しそうだ。
とはいっても、昨年までのブッチ切りが無い、というだけで東地区では堂々の優勝候補、ワールドリーグ3連覇には打線の強化が懸案となる。ディープポケットのヤンキースだけに、貧困球団の主力選手を獲得するかもしれない。
昨年ワイルドカードのレッドソックスはアストロズから3割20本20盗塁のエヴァレットを獲得。首位打者のガルシアパーラと共に貧打解消に努める。投手陣はサイヤング賞のペドロ・マルティネスに加えその兄、ラモンが故障から再起を賭ける。この兄弟を中心に回すローテとなりそうだ。また昨季大不振のジェフ・ファセーロを獲得。復活となれば超安上がりとなる上に待望の左腕先発となる。但しトム・ゴードンが故障で抑えが未定。カブスから獲得のベックも故障気味で、ここをどう乗りきるかになる。
ヤンキースとレッドソックスの一騎打ちに絡むのは年棒総額ではヤンキースを上回るオリオールズ。最大の弱点だった抑えにトロンブリーを獲得し、ティムリンとの2枚看板で挑む。しかし、先発の一人エリクソンがキャンプ中に手術で離脱してしまった。走攻守共に平均レベルは高いのだが尽き抜けたものの無いチームだけに、6リーグで最もレベルの高い地区となったア東地区での優勝は難しいか。
ブルージェイズは先発の一角、ヘントゲンを放出、中心打者のグリーンもやや劣るモンデシーとトレードと年棒の削減に努めている。但し、昨年は若手が活躍したため3位と健闘。その若手陣により一層のレベルアップがあればワイルドカード争いに絡めるかもしれない。しかし、逆に反動が来ると沈む可能性も。また、高年棒から放出の噂の耐えないウェルズがその通りとなれば交換要員次第だが総崩れとなる可能性もある。
デビルレイズはカンセコ・マグリフの大砲に加え、50本のグレック・ボーン、40本のカスティーヤ、20本20盗塁のジェラルド・ウィリアムスと打線を大幅に補強。先発も二桁を計算できる投手を揃え戦う陣容になった。しかし、他チームが強いだけに順位の浮上は厳しいか。取り敢えず勝率五割を目指したい。
アメリカン・リーグ 中地区
ここは世界中のありとあらゆるスポーツの中で最も予想しやすい場所かもしれない。5年連続地区優勝のインディアンス以外の4チーム、タイガース・ツインズ・ホワイトヒックス・ロイヤルズが勝率5割を切っているからだ。そのインディアンスは先発にエンゼルスからフィンリーを獲得、ますますチームを強化している。但し抑えのジャクソンがFAで去ったため、代役を作れないと地区優勝は出来てもワールドシリーズは厳しいか。強力打線は一番のロフトンが故障で復帰は7月だが地区優勝には影響無いだろう。
タイガースは大砲ホアン・ゴンザレスを獲得したものの、その為に6選手を放出。投手は野茂を獲得したのでローテは組めるが、野手は一気に層が薄くなった。一年間戦い通せるかには不安があり、またゴンザレスとは来季以降の契約がまとまっていない。このままFAとなると一気に弱体化しそうだ。
アメリカン・リーグ 西地区
オフに大きく補強したマリナーズが優勝候補の大本命。。グリフィーこそ放出したものの、メッツからFAでオルルドを、レッズからトレードでキャメロンを獲得した。機動力、繋がりと言う意味では昨年以上になり、2年間故障のビューナーが復活となればリーグ最強打線は維持できる。そしてここ2年打線の足を引っ張った投手陣は先発にはレンジャースからシーリー、レッズからトムコ、救援陣はオリオールズからローズ、そして日本から佐々木とエース級二人とストッパー二人の計4人を獲得、離脱者が無くてローテ、ブルペンとも整備された。そのためグリフィーを放出しながら現時点で年棒総額は昨年を上回る。地区優勝を義務つけられたと言っても過言ではなく、グリフィーが去った今、人気を維持するためには優勝するしかないという球団の危機意識かもしれない。
昨年2位のアスレチックスは若手が急成長し、またいつもなら成績と共に年棒が上がるため貧乏球団の悲哀で放出となるのだが珍しくそのまま残った今年は優勝するチャンスである。マリナーズの対抗馬だが若手が揃って昨年が頂点となってしまうと一気に崩れる可能性もある。
昨季2年連続の地区優勝を決めたレンジャースはゴンザレス・ジール・グッドウィンと強力打線のレギュラーが移籍。ヤンキースからカーティスを獲得したもののその穴は埋まりそうも無く、本命からは滑り落ちた。しかし、イヴァン・ロドリゲス、グリーア、パルメイロ、スティーブンスとまだまだ役者は揃っているので投手陣次第だろう。その投手陣はシーリーが抜け、代役としてトンプソン・ロジャース・オリバーを獲得した。期待通りの働きを見せれば地区優勝を狙える戦力になるが、トンプソンは有望な若手左腕ながら故障個所を手術後伸び悩み、40歳のロジャースも昨季は10勝だが力の衰えは隠せない。この二人が15勝以上できるかに優勝はかかっているだろう。
エンゼルスはエースのフィンリーがFAで移籍し、球団が彼の引止めに全く動かなかったことや監督問題などでチーム選手の全体のモチベーションが低い。先発ローテは満足に組めない状況で、強力打線も今季FAを取得するエドモンズにトレードの噂が耐えない。但し打線のラインナップを見るといい選手が揃っているし、上位チームも絶対的に強いわけではないので他リーグの最下位予想チームと違い優勝できる可能性はある。
ア東地区よりレベルは低いが、全チーム優勝の可能性がある唯一の地区ということでは最激戦区かもしれない。
ナショナル・リーグ 東地区
90年代、一度しか地区優勝を逃したことの無いブレーブスだが、昨季は貧打で苦戦した。しかし、ガララーガ・ロペスが故障から復帰し、またブーン・クレスコの振りまわす二人をパドレスに放出し代わりにヴェラスにサンダースと走って守れる選手を獲得。1.2番にはうってつけの二人だけに打線は大幅に強化された。しかし、投手陣は4本柱の一人スモルツが故障で今季絶望となり、ストッパーのロッカーも人種差別発現の影響で安く放出されるかもしれない。この穴をどう埋めるかだろうが、ワイルドカードも考えればヤンキースと同じく余程のことが無ければプレーオフには出れるだろう。
対するメッツは今オフも補強し続けた。アストロズから22勝のハンプトンを獲得したのは大きい。救援陣も強力だ。打線はオルルドはFAで去ったものの、レンジャースからジール、アストロズからベルを獲得し数は揃っている。あとはどう打線を組むかにかかっている。不安は高齢選手が多いことで故障が心配だが、今季はブレーブスを抜く大きなチャンスとなる。
フィリーズも先発にパドレスからアシュビー、抑えにインディアンスからジャクソンを獲得、まとまっている打線を援護する体制が整った。波にさえ乗ればワイルドカードをさらえるかもしれない。
エクスポズはオーナーが代わり有望若手の放出がストップ。今季は先発に伊良部、リリーフにロイドを獲得した。しかし、総合力ではまだまだブレーブス・メッツには劣る。
マーリンズは相変わらず主力を放出する貧乏振りで最下位はほほ確定的。
ナショナル・リーグ 中地区
レベルは東地区より低いものの、優勝候補が4チームで、またワイルドカードはほぼ間違いなく東地区のブレーブスかメッツのため1チームしかプレーオフに進出できないという点でアリーグの最激戦区となる。
私の推す本命は昨年の一位、アストロズはハンプトンを放出して代わりにメッツからドテルを獲得した。22歳で昨季は8勝。彼がいくつ勝てるかにかかっている。打線はエヴァレットをレッドソックスに、ベルをメッツに放出したが同じホジションに故障で昨年は全休した3割30本選手のアルー、メッツから3割60盗塁のセデーニョが加わり、ビジオ・バグウェルと組むクリーンナップは昨年以上の力を発揮するだろう。ただ下位打線が弱いため、やはり先発が崩れるとずるずる落ちていきそうな気配も。監督として地区優勝率100%のベーカー監督の命運が注目される。
対抗はまずカージナルス。もともとマグワイア率いる打線は強力だったが投手が壊滅していた。そこにヘントゲン・カイル・ベネスと二桁級の先発を三人獲得、抑えにもロッキーズからペレスを獲得、一気にアストロズと争える陣容に変化した。打線もブリュワーズからビーニャを獲得、昨年は故障暮らしだったが、復活となれば頼もしい一番となるだろう。またヘントゲン・ビーニャとも貧乏球団からの獲得で交換要員が安くチーム力が落ちていないのも強みだ。
一昨年2位のカブスは先発ローテが全員故障するというまさに大惨事で最下位に沈んだ。今オフは財政緊縮を進めるドジャースからタダ当然でヴァルデスとヤングを獲得、優勝を狙う。
先発はタパニとウッドが故障からの復活を目指し、ここに新加入のヴァルデスが加わればアストロズ・カージナルスに負けない陣容となる。そしてヤンキースからFA移籍のジラルディはリードで投手を大きく助けるだろう。ヤングの加入で一番も固定され、上位を狙う。
昨季若手の大活躍で2位となったレッズ。グレック・ボーンがFAで去ったものの、ロッキーズからビシェットを獲得し、さらにセンターのキャメロンがマリナーズから移籍のグリフィーに代わった。打線は昨年以上、リーグで一番だろう。
しかし投手陣は、先発のグーズマンがFAでデビルレイズ、トムコがグリフィーの交換要員でマリナーズへと去り、一枚足りなくなった。他チームが共に補強している中ではここをなんとかしなければ優勝は厳しい。救援陣は豊富なだけに、若手野手を誰か放出して先発をつれてこれれば一躍本命へと踊り出るが、逆に若手が壁にぶつかる心配もある。
パイレーツは投手はまあまあいいものの貧打がつらく、その上一番打者のマーティンをパドレスに放出してしまった。上位4チームの壁の前には砕け散るしかないだろう。
超貧乏球団ブリュワーズはビーニャ・シリーロ・ニルソン・バレンティン・野茂と主力を次々に放出した上穴埋めは無いに等しい。最下位はほぼ決定的。
ナショナル・リーグ 西地区
ダイヤモンドバックスは先発のベネスこそ抜けたものの他は昨季の陣容をそのまま残す。当然優勝候補だがワールドチャンピオンはつらいか。
対するは同じく昨季2位でそのままの陣容を残すジャイアンツ。昨年は主軸に故障が続出しての2位なので、今季は故障が無ければ地区優勝を狙える。
ドジャースはグリーンをブルージャイズから獲得したものの、彼及びブラウンとの高額契約から年棒削減に走り、ローテのヴァルデス・一番のヤングをタダ当然で売り飛ばした。全体的にチーム力が落ちており、優勝はやや厳しいだろう。ただ、上位が他地区と違ってそんなに強くないので爆発を見せれば可能性はある。
パドレスはブーン・クレスコと20〜30本打てる二人をブレーブスから獲得。代わりに機動力を失ったがパイレーツからマーティンを獲得して一番も確保。打線は良いが、アシュビーが去った先発陣に昨季勝ち越した選手はおらず、戦いは苦しい。
ロッキーズは全く判らない。一軍の選手の1/3を入れ返る荒療治。1位から最下位まで全ての順位が予想されるが、打線はともかく、先発陣はいくら面子を変えても打球が跳びまくるクアーズ・フィールドでは苦しいか。吉井の前にもいばらの道が待っている。
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