総評:パワーアップしたレッドソックスとパワーダウンしたヤンキースの一騎討ち、これに強力打線のジェイズが先発さえ出てくればワイルドカード争いに参入か。
アメリカン・リーグ 中地区
・まさかまさかのシーズン最多勝でホワイトソックスがインディアンスの6連覇を阻んだ。しかし、プレーオフは投手陣に故障が多発し、打線も沈黙してマリナーズにスイープ(連敗)された。元々は打線のチームだが、投手がシーズン終盤から不調+故障者多発で今年のスタートには不安がよぎる。投手陣は補強も無いので、いかに彼らが復調しているかだろう。打線の方はトーマス・オルドニエス・コネーコの強力クリーンナップが健在、脇もレンジャースからショートのクレイトンを獲得、ショートのバレンティンをセカンドに、セカンドのデュラムをレフトにコンバート、下位まで隙のない布陣になっている。
・対するインディアンスは、昨年は投手陣に故障が多発してホワイトソックスに独走を許したが、後半の追い上げで1勝差でワイルドカードを逃がしただけに、ホアン・ゴンザレス獲得に成功した今シーズンはホワイトソックスが易々と連覇という雰囲気ではない。故障者が帰ってきた先発はまずまずの布陣、抑えは昨シーズン中にブリュワーズから獲得したウィックマンがすわる。打線もレッズから3割捕手のトーベンシーを獲得、ラミレスは抜けたがゴンザレスで互角、穴のレフトにもジャイアンツからFAでバークスを獲得した。ロフトン、ビスケル、アロマーと3割30盗塁の3人が123番でその後ろに40発のゴンザレスとトーメイが控え、両リーグ最強打線の名が相応しい。ディフェンスも黄金のニ遊間アロマー&ビスケルで投手陣を大いに助けることだろう。やはり大本命か。
・ロイヤルズはリーグNo.1トップバッターのデイモンを放出してまでチームの弱点だった抑え(ヘルナンデス)と捕手(ヒンチ)を獲得した。ベルトラン、ダイ、スイニーの中距離クリーンナップに、マック鈴木を中心とした若手先発陣が育ってきただけに、この補強でまずはワイルドカードを狙いたい。が、デイモン離脱による1番不在に悩む可能性も…。
・タイガースはゴンザレスと野茂が離脱、名捕手のオースマスも放出してしまった。代わりに獲得した先発のホルトはここ数年不調で、リッキー・ヘンダーソンの弟子、セデーニョが活躍したとしてもクリーンナップは力不足で苦しい戦いになりそうだ。
・ツインズは選手年棒の総額がアレックスの1年分に負けるどころが、実は巨人の総年棒の約半分という悲惨さでは沈むしかない。
総評:大本命はインディアンス。ホワイトソックスの投手陣が沈んでしまうと2位はロイヤルズの可能性も。但し両チームとも5割を切るかもしれない。
アメリカン・リーグ 西地区
・注目は何と言ってもアレックスを獲得したレンジャース。98.99年の地区覇者も昨年は最下位。そこで今オフはアレックスの他、一塁にガララーガ、三塁にカミニティ、ニ塁にベラーディと、ショートのアレックスと合わせて総とっかえという荒業に出た。捕手のイヴァン・ロドリゲス、DHのパルメイロ、外野のグリーアと共に、連覇時代の強力打線の復活となった。が、昨年最下位に沈んだ最大の原因は全球団最下位のチーム防御率。被打率.297と相手チームに3割打たれていると言う悲惨さなのにほとんど補強無し。アメリカの新聞にも「アレックスが投手なら間違い無く優勝候補だが」と書かれる始末で実にお寒い状況だ。優勝争いには食い込むだろうが、投手陣が滅多打ちだと結局は下位に沈む可能性も。
・昨年優勝のアスレチックスも打線のチーム。昨シーズンMVPのジアンビーをサポートするかのように1番にデイモンを迎え、ジアンビーの打点は160を超えるか注目したい。ただ投手はオフにエイピアーがFAで去った。この穴をどう埋めるか。ハドソン、ヘレデイアの2枚看板に抑えのイズリングハウゼンは健在なので、エイピアーの穴さえ埋められればバランスではア西地区筆頭であろう。
・そしてマリナーズは昨シーズン、かつての超一発打線から投手陣のチームに見事に生まれ変わった。モイヤー・シーリー・ガルシアの15勝級3枚に超強力ブルペン。佐々木自体は普通のストッパーだがそこにリーグNo1セットアッパー左腕のローズがいて2枚看板なのが大きな力。そして不安定だったメサがFAで去った代わりに、ヤンキースからリーグNo1セットアッパー右腕のネルソンを獲得、リーグ最強の左右のセットアッパーを従えた佐々木は勤続疲労さえなければ50Sも狙えるというほどで、まさに全球団で最強の救援陣であると言える。守備の方もセカンドに名手ブーンをFAで迎え、ライトのイチローと共に守備力は各段に上がっている。
しかし、打線に目を向けると、アレックスの抜けた穴は大きい。昨年は貧打線ながらもアレックスとエドガー・マルティネスの3.4番で280近い打点を稼いで競い勝ってきたからだ。現状ではアレックスの代わりに3番にはいるのはオルルド。昨年は.285に終わったが、.350以上を何度も経験しているオルルドの打棒復活があれば、後はトップバッターの出塁率次第なのだが現在のラインナップに実績あるトップバッターは不在。まさにイチローが一番で3割30盗塁を達成できるかに優勝がかかっていると言える。余り気味の先発を放出して打てる選手をつれてくるという話もあるが、それが出来ればイチローがまずまず(最悪の場合失敗)でも上位をうかがえるだろう。
・エンゼルスは本塁打王グラウスを筆頭にモー・ボーン、アンダーソン、サーモンと30発以上が4人にリーグ最多安打のアースタッドでレッドソックス、インディアンスに負けず劣らずの強力打線だが、ここは二桁勝利の先発が昨年一人も出ずローテーションも満足に組めないという涙のような状況だ。長谷川にパーシバルと救援陣はまずまずなので先発の頭数さえ揃えば戦えるのだが。ドジャースからヴァルデスを獲得はしたがそれだけではとても足りない。
総評:正直いってわからない。レンジャースは投手陣、マリナーズはイチローの成否を含めた打線の底上げが必須。バランスではアスレチックスだが…。
ナショナル・リーグ 東地区
・プレーオフではあっさり敗退したものの、シーズンは2000年も強かったブレーブス。今年の布陣は、ガララーガは抜けたものの、スモルツの帰ってくる先発で心配無用か。打線の方もファーカル、ベラス、チッパー、アンドルー、ロペスとバランスの良い布陣が並ぶ。ファーストにはFAでブローニャを獲得。大砲ではないが中距離打者を1〜8番まで並べるブレーブスらしい補強と言えよう。レフトとライトはジョーダン、サーホフらの動向が未定なのでなんともいえないが。まさかデーブ・マルティネスがスタメンということはないと思うが…場合によってはチッパー・ジョーンズのレフトコンバートも現実となりそうだ。
・ブレーブスの独走を後押しするのがメッツの弱体振り。ハンプトンの離脱は実に大きい。果たしてエイピアーがどこまでやれるのか。打線も内野はほぼ問題ないのだが、外野の方は新庄がスタメン争いをしそうなぐらい、実績のない選手が並ぶ。確かにアグヤパニやペイトン、ペレスは有望株ではあるが、それらに新庄とハミルトンしか外野がいないというのは…ベテランのハミルトンも3割バッターで守備の名手だが長打があるわけでもなし。ワイルドカードも危ない感じだ。
・下位3チームで面白いのはマーリンズか。95年以降、世界一メンバーを次々と手放していたが、新球場の建設も目処が立って新オーナーが力を入れ始めた。手始めにオフにかつての正捕手、チャールズ・ジョンソンをFAで獲得、育ってきた若手の放出もストップした。かつての主力の放出時に獲得した他チームのトップリスペクト(蝶有望マイナー選手)がいい感じに成長してきているので、来年はメッツを抜いて2位、なんてこともあるかもしれない。
・フィリーズは毎度のことだがチーム方針がはっきりしない。若手を出してみたり、ベテランをかき集めてみたりとうろちょろ。昨シーズンもアシュビーとジャクソンを取ってやる気を見せたかと思えばシーズン中にシリングとアシュビーを放出してしまった。チームのモチベーションも高くない様だ。
・エクスポズはエースのハーマンソンを放出してタティスを獲得。ゲレロとともに強力打線を組むが、先発が故障開けの伊良部頼みではつらいのでは…
総評:メッツの補強がなければブレーブスの独走か。マーリンズには注目したい。
ナショナル・リーグ 中地区
・大激戦区と言われた昨年だが、蓋を開けてみればカージナルスの独走。今オフもハーマンソンを獲得するなど、その勢いは止まりそうにもない。やはりカージナルスの独走と見るのが正解か。打線は少し落ちているが、磐石の投手陣は揺るぎそうもない。但し万が一マグワイアが故障から復活しないと、クラークも引退してしまったので少々キツイかもしれないが…。
・アストロズは新球場の前に投手陣が壊滅した。2年目の今季は果たしてどうか。バグウェルの残留にも成功し、また名捕手のオースマスが復帰している。元々チームのポテンシャルは高いだけに、投手陣さえ持ちなおせばカージナルスに挑むことになるだろう。
・昨オフ精力的に補強した割には沈んだカブス。至宝のグレースを引き留めず、代わりにドジャースから獲得したハンドリーを一塁にコンバート。投手陣にはファセロと、こう書くとどうも脂の落ちたベテランばかりかき集めているような。やはり投手陣が弱いだろう。
・昨季のキャンプでは大フィーバーのレッズはグリフィーの調子と比例するかのような戦い振り。2位は確保したものの五割前後という寂しい数字だ。グリフィーに続き、バーキンとも長期契約を結んだ為オフにはトーベンシー、ハーニッシュなど主力を次々に放出して今から最下位が見えているような感じだ。若手をかき集めてはいるが、それらが成長するとまた放出してしまうような気も。
・パイレーツとブリュワーズは書くことが無い様な気もするのだが…カブスやレッズが崩壊すればその上には行けそうだが。
総評:カージナルス独走を止めるチームがいない。アストロズは投手陣が新球場コンプレックスから立ち直ればカージナルスに挑めるが…。
ナショナル・リーグ 西地区
・まさに大激戦区となろう。注目はロッキーズ。ハンプトン、ネイグルとFAの目玉投手3人のうち実に二人と契約してしまった。打線も中距離打者をそろえたまずまずの打線で、このディフェンシブ路線がどこまで発揮されるのか注目だ。
・昨季優勝のジャイアンツは毎年主軸打者の故障に泣かされてきたが、昨季はボンズ、ケントとも大爆発しての優勝となった。オフにバークスが抜けてしまったがデービスやダンストンなどベテランを集めている。投手陣はまずまずなだけにやはりボンズとケント次第だろう。
・一昨年優勝のダイヤモンドバックスはジョンソンにシリングと投手陣は万全だが打線が少し弱い。弱いチームではないのだが…。それはドジャースも同様で、先発・中継ぎ・打線ともFAで補強しているのだが勝てない。この2チームはバランスが悪いと言う事なのだろうが…
・パドレスも悪いチームではないのだが…この上位4チームが相手では分が悪すぎるか。
総評:ジャイアンツ、ロッキーズ、Dバックス、ドジャースの4チームの戦力は均衡しているが、バランスの良いジャイアンツを推したい。逆にドジャースは苦しいか。ワイルドカードは定番のメッツではなくこの地区からになりそうだ。