家族破壊計画 補足
 主人公は麗子と哲也の二人制。苗字の設定は特にないが、他人に勝手につけられるのも癪なので、つけるとするならば『只野』。それ以外の登場人物には特定の名前はない。
 哲也は二十六、麗子は十四歳の設定。麗子の母親は十八で麗子を産んでいるので現在三十二歳。祖父は六十過ぎで結婚は三十を過ぎてから、祖母も生きていればそのぐらいであ
る。麗子の父親の設定は全くない。
 舞台は特定はしていないが、作者の生まれ育った稲毛海岸がモデル。具体的に、哲也の家は稲毛海岸五丁目団地。一階で、作者の中学の友人の知り合いの女性の家の場所であ
る。麗子の一軒家は一丁目にある設定だが、実際には団地しかなく、四丁目の集落がイメージとなっている。海は稲毛の浜だが、温泉はまったくの空想である。
 哲也はあまり細かい設定はしていない。細身で身長は高め、容姿はそれなりだが二枚目と言うほどではない。性格に関しては作家を目指していたり、神経質な面など、この作者の作品の男主人公の中では最も作者本人に近い姿をしているとも言える。
 麗子に関しては、『広末涼子』と言ってしまえばそれまでだが、ショートカットで小柄、明朗活発な女の子のイメージに彼女がぴったりだった偶然の一致で、最初から彼女をモデルにし
ていたわけではない。中学校はセーラー服、高校は首の飾りのないブレザー。
 題名に関しては当初は『家族破壊計画』だけだったが、もっと一般にわかりやすいタイトルを、と言う事で『君色の空』を考えたが、作者が『家族〜』を非常に気に入っているため、両立
と言うことになった。一応『家族〜』がメインで『君色の空』がサブである。 
ええっと、この作品は私が浪人生活中に書き始めて、大学に受かって一年目の夏休みに完成させた作品です。個人的にはかなり気に入っている作品なのですが、その時仲間に見せた反応は「???」という感じのものばかりでした。つまらないわけでもないけど、おもしろいという表現は似合わない。なんて形容していいかわからない作品だ、とある後輩には言われました。
 
実を言いますと、それ以来かなりのスランプに陥りました。この作品は自分の求めた文学表現の、それこそ集大成であったからで、それには自分でも満足していたからです。何を書いていいかわからず、読者が何を求めているかもわからず、自分が何を書いていくべきなのか、大きく迷いました。文章を書くのを辞めてしまおうかと思った時もありました。
 
あれから2年ほど経ちました。私もようやく再び小説を書き始めたばかりです。そしてここに、その作品を掲載したいと思います。
理由はいくつかあります。大勢の人たちの意見を聞いてみたいというのもありますし、この作品が間違いなく自分の文学生活の第一期の集大成であるからです。
そして自分では、この作品よりも面白い作品は書けるかもしれませんが、これよりも文学的な作品が作れる気はしません。敢えて言えば書き直すぐらいでしょう。それほど、この作品は自分の理想が詰まった作品です。
その理想というのは、作品の命題であり、世界観であり、演出であり、それらが自分の望む状態に到達したということです。文章表現自体はまだまだ稚拙かもしれませんが・・・。
自分で言ったら実も蓋も無いですが、理念に走った作品ではあるかと思います。ぜひ、みなさんの御意見を聞いてみたいと思います。メールでおよせください。よろしくお願いします。
 
1999.7.24 中村嵐
 
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